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| (株)栃木ブレックス 2026年6月期決算報告 |
2026/9/20掲載 |
■ 売上40億円を突破 EASL優勝と主要事業の成長で過去最高決算を達成
株式会社栃木ブレックスが2026年9月18日に発表した2026年6月期決算は、クラブの歴史に新たな金字塔を打ち立てるものだった。
売上高は前期比126%となる40億3,500万円に達し、営業利益は3億5,000万円(前期比約2倍)、当期純利益は2億6,690万円と、いずれも過去最高を更新する大幅な増収増益となった。
この好調な業績は、「チケット」「スポンサー」「グッズ」という3つの主要部門が力強く牽引した。
増収額の内訳を見ると、スポンサー収入で2億7000万円、チケット収入で約2億円(前期比1.4億円増の12.1億円)、グッズ収入で2億円以上(前期比2.1億円増の7.2億円)と、それぞれが大幅な伸びを記録している。
藤本光正代表取締役社長は、成功の基盤には「地域との接点を広く深く持つこと」という揺るぎない哲学があると強調する。
年間約500回にも及ぶ地域貢献活動を徹底して継続しており、これがチームの認知度向上とブランドイメージを確立。地域に根差した活動がファンの拡大を生み、各事業の売上増に直結している。
■ EASL初優勝がもたらした光と、来季への冷静な視点
今期の業績を語る上で欠かせないのが、2026年3月に開催された東アジアスーパーリーグ(EASL)でのクラブ史上初優勝だ。
この快挙は、高額な優勝賞金(出場関連費用含め3億円強)をもたらしただけでなく、各事業に大きな波及効果を与えた。
藤本社長は、「EASLで単独のユニフォームスポンサーをセールスする枠があり、そこが(スポンサー収入拡大の)かなりの要因となった」と説明。
Bリーグとは別に設けられたスポンサー枠が新たな収益源となり、法人スポンサー数は前期から58社増加し389社(スポンサー収入12.7億円)に達した。
また、EASLのホーム開催試合はチケット単価の上昇と相まってチケット収入にも貢献した。
しかし、来季のEASL出場は未定であり、この「特殊要因」がなくなることによる収益減は避けられない。
藤本社長は、この売上減を無理に補填するのではなく、あくまで一過性のものと捉え、レギュラーシーズンなど各カテゴリーでの着実な成長を目指す姿勢を示す。
チャンピオンシップの結果によっても数億円単位の収益変動が起こるため、一時の好成績に浮かれることなく、「筋肉質な経営体質」の構築を重視している。
■ グッズ売上の躍進と新たな販路開拓
グッズ売上も前期比2.1億円増の7.2億円と大幅に伸長した。
この主な要因として、2024-25シーズンのBリーグ優勝記念グッズの売上が今期に計上されたことが挙げられる。
会計期の関係上、約8,000万円から9,000万円の押し上げ効果があったという。
さらに、シーズン途中からFKD宇都宮店とコジマ×ビックカメラ宇都宮テラス店に常設のグッズショップをオープンしたことも数千万円規模の売上増に大きく寄与した。
藤本社長は「試合がない日も含めて多くの方にご購入いただいた」と述べ、新たな販路開拓の成功を強調。今後は需要と供給のバランスを慎重に見極めながら展開していく方針だ。
■ B.PREMIER移行がもたらす経営戦略の転換
輝かしい実績の一方で、2026-27シーズンから導入される新トップリーグ「B.PREMIER」は、チーム経営に大きな転換点を強いる。
特に影響が大きいのが、試合日程の変更とサラリーキャップ制度の導入だ。
■ 平日開催増加とチケット価格戦略
B.PREMIERでは平日開催が増加する見込みで、これは観客動員に影響を与える可能性がある。
チームはこれに対し、「需要に応じた価格設定」を基本方針に掲げ、席種ごとの売れ行きや需要差を細かく分析し、価格を柔軟に調整していく考えだ。
■ サラリーキャップ導入の光と影
選手年俸の総額に上限を設けるサラリーキャップ制度は、経営の健全性を高める一方、選手の獲得競争において「アクセルを踏み切れなくなる」という自由度の低下も指摘される。
しかし、人件費の上限が明確になることで損益分岐点が見えやすくなり、事業面への投資がしやすくなるというポジティブな側面もある。
実際にブレックスでは、フロントスタッフの給与ベースアップやアリーナ装飾の充実といった先行投資が既に行いやすくなったと分析している。
経営陣はこれらの変化を「逃げるべきものではなく、適合していくべきもの」と捉え、組織全体でのアップデートを続ける構えだ。
■ 「絵に描いた餅」にしない。新アリーナ構想の現在地
ブレックスが目指す次なる大きな目標が、新アリーナの建設だ。2026年6月には、ファンや企業からの寄付(目標4000万円に対し2億1000万円を達成)を元に策定された基本計画が発表された。
これは、チームが理想とするアリーナの姿を示した「意思表示」である。
しかし、藤本社長は「まだまだ乗り越えなくてはならない課題は多々残っている」と慎重な姿勢を崩さない。
高騰する建設コストの精査や資金調達計画、行政との協議など、実現への道のりは平坦ではない。
計画では、チームが主体となる特別目的会社(SPC)を設立し、アリーナの建設・運営を担うスキームが想定されており、アリーナビジネスの主導権を握ることを意味する。
だからこそ、今回の40億円達成は、この巨大プロジェクトに挑むための「体力づくり」の一環とも言える重要なステップなのだ。
チームが主体となることで、「スポーツで熱狂する空間としては一番と言わしめるような設計」を目指しており、ファンの熱量を最優先する姿勢は新アリーナ構想においても貫かれている。
■ コロナ禍からのV字回復、そして未来へ
藤本社長が就任した2020年当時は、新型コロナウイルスの影響でシーズンが途中で中止となり、クラブは大きな赤字を計上していた。
「当時は次のシーズンが開幕できるのか、暗中模索の不安な状況だった」と振り返る。
そこからわずか6年で売上40億円を達成したことについて、「ファン、スポンサー、行政、メディア、そして選手の頑張りがあったからこその数字だ」と、全てのステークホルダーへの感謝を述べた。
クラブ史上初の売上40億円達成は、地道な地域貢献と堅実な経営姿勢、そして国際舞台での成功が結実したものだ。
来季はEASLという追い風がなくなる可能性が高い中、チームの真価が問われる。
そして、その先に見据える新アリーナという壮大な夢を「絵に描いた餅」にせず具現化できるか。今回の好決算は、その挑戦権を得るための力強い一歩となったことは間違いない。
ブレックスがB.PREMIERという新時代でいかに持続的な成長を遂げ、ファンを熱狂させる空間を自らの手で創り上げるのか、その動向から目が離せない。
■ 2026年6月期決算の概況 (2025年7月~2026年6月)
売上高
4,035,787,153円(前年度:3,195,520,463円) ※前年度比 126%
営業利益
350,848,553円(前年度:176,726,173円)
税引前当期純利益
368,124,792円(前年度:177,975,275円)
当期純利益
206,986,402円(前年度:120,005,171円)
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| 2026-2027シーズン |

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